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2024/01/09

リハビリ担当より看護師に向け、移乗介助の方法について研修を行いました

福あーるでは定期的に社内研修を行なっています。
今回はリハビリ担当より看護師に向けて、楽に行える移乗介助の方法についての研修を行いました。普段は前方から抱えるように移乗介助を行っているスタッフがほとんどですが、今回は移乗介助の中でも横に座って介助者の膝に乗せる方法での介助について実技を行いました。
始めは「私にできるかな?」と言っていた看護師さんたちでしたが、1時間ほどの実技研修の時間の中でしっかりできるようになりました。

移乗介助とは何でしょうか?

移乗介助とは看護・リハビリの現場ではかかせない動きのひとつです。
移乗とは、例えばベッドから椅子、椅子から椅子、またはトイレの便座、車いす、浴槽など様々な場面で「乗り移る」ことをいいます。
移乗介助の目的はただ移るためではありません。ベッドから離れて生活範囲を広げ、自分らしく生活するために必要なことです。座って食事をしたり、トイレに行けたり、車いすに乗れば外出も楽しめるようになります。

移乗介助は転倒や転落など事故のリスクも

移乗は転倒や転落による事故やトラブルが起きやすい非常にリスクの高い動きでもあります。
本人にとっては骨折やけがの恐れがあり、支援者にとっては動き方を間違えると、腰を痛めたりする心配があります。
本人と支援者にとって安心して精神的・肉体的に負担なく行えるため様々な介助方法が検討されています。まずは、移乗介助を行う場合の注意点についてご説明します。

注意点①: 介助するときは声をかけてから行う

声かけがないと、介助されているほうは「何をされるかわからない」「急に体を触られた」など、不安や恐怖心を感じることがあります。
無意識に力が入ったり、混乱する場合があるため、必ず声をかけながら行いましょう。

注意点②: 本人の能力を活かす

例えば同じ病気であったとしても、一人ひとりできる能力には違いがあります。できることまで手伝うと、今できることの能力低下につながります。
本人ができるところはご自身で行なってもらうことが大切です。

注意点③: 膝折れなどの転倒転落に注意する

転倒転落で気をつける点は、座っているときの滑り落ちと、立ち上がりや移動の際の膝折れやふらつきです。普段はできても、起立性低血圧や低血糖などの症状がおこる場合もあります。
「突然にバランスを崩す場合がある」と意識して行いましょう。

注意点④: 打撲や皮膚はく離に注意する

特に小さな子どもさんや、高齢の方は皮膚が薄くなっており、少しあたった程度でも内出血ができたり、傷ができたりします。介護ベッドや車いすなど足元にでっぱりがある部分には気を付けましょう。心配な場合は、タオルを敷いたり、厚めの靴下をはいておくなど対策をしましょう。

注意点⑤: 支援者が腰を痛めない姿勢に注意する

支援者は介助しようとすると前かがみの姿勢をとりがちです。前かがみの姿勢が腰痛の原因の一つです。できるだけ姿勢を低くするなど移乗のテクニックや、支援用具を上手に使って腰痛予防に努めましょう。

移乗介助の対策方法について

移乗介助を手助けする手段には大きく分けると、
環境を整えるハード面」と「人による介助のソフト面」があり、さまざまな移乗方法があります。
手すりなどの支援用具を使って環境を整えたり、移乗方法のテクニックを知ることができれば、本人にとっても、支援者にとっても楽に移乗介助を行うことができ、お互いの負担軽減につながります。

環境を整えるハード面での対策方法は?

移乗を手助けする支援用具は日々進化しています。

ご自身で立てる方は突っ張り棒や、床に設置型の手すりを工事せずに取り付けられます。

ある程度座る姿勢までとれる方にはスライディングボードと呼ばれるものを使用します。形や大きさも様々あり、車いすの背もたれにいれて持ち運ぶこともできお手軽です。

最近では車いすのひじかけ部分が横に開いて、直接スライディングボードになるものもあります。
全介助の方の場合の移乗にはリフトを使用します。タイヤで走行できるようになっているものもあり、寝た状態のままで吊り具を取り付ければ手動や電動で吊り上げて車いすなどに移乗します。

どのようなものが体に合うのかについては、看護・リハビリにて一緒に検討させていただいております。

人による介助のソフト面での対策方法は?

本人にとっても支援者にとっても移乗が負担にならないことが大切です。

介助をするときに支援者ができると思えなければ、例えば「こんな大きい方の移乗なんて私にはできないわ」となって本人の移乗する機会をうばってしまうことになりかねません。そうならないために、負担にならない移乗介助のテクニックがあります。

今回はそのうちの一つの方法として、本人も支援者も立たずに移乗する介助方法の研修を行いました。

移乗介助について実際に研修!

研修では、まず「人が立つ」動きはどのように行っているのかの話がありました。
その後、リハビリスタッフから看護師への実技を行いました。
研修中、初めに手順を理解するまで戸惑いがありましたが、1時間の研修の中でしっかり行えるようになりました。

人が立ち上がる動きを知る

実は、人は「上に」向かって立ち上がりません。
そのため介助するときに「上に」持ち上げようとするととんでもない力が必要になります。人は「前に」かがむように立ち上がっています。

実験!立とうとする人の額を人差し指で抑えてみましょう

椅子に座っているところから立とうとする人の額を人差し指一本で抑えてみました。結果はまったく立てません。中にはほんの少しお尻が持ち上がる人もいましたが、ぴくりとも動けない人もいました。

人は前にかがまないと立てないことがわかります。

「立つ」ために必要な動きとは?

立つためには

①浅く座る
②足を手前に引く
③前にかがむように立ち上がる

の3つの動きが必要になります。
ある程度自分で動ける場合は、この3つを意識して支援することを確認しました。

実際に移乗介助を実践!

今回の移乗介助の方法は、横に座って行いました。
手順としては

①介助されるひとのお尻を浅く座らせる 
②膝の上に、介助されるひとの足を乗せる 
③前にかがませながら支援者の足の上に介助されるひとの体重を乗せる 
④胸の前から対側の肩甲骨を支え、反対の手でお尻も支える 
⑤支援者は自分のお尻を移動させながら回して移乗させる

上記の方法に気をつけてスタッフで交代しながら、実施しました。

看護師さんの反応は?

始めは、「難しそう!」といいながら研修していた看護師さんたち。
手順を覚えることに少し戸惑っていたり、自分に全体重をかけるところでドキドキしていました。「どこを持てばいいの?」といいながらも皆さんだんだん慣れていきました。

「遊具に乗ってるみたい」と介助されている側も負担がない動きにびっくりしていました。最後は無事に全員移乗成功しました。

研修した看護師さんからは「ふわっと浮いた」「自分でも180㎝ある重い人を持ち上げられた」「腰を使わないから腰痛予防になる」と意見をいただきました。

実際の利用者さまの反応は?

後日、実際に利用者さまで実施してみた看護師さんは、利用者さまから「あなた、ベテランでしょ?安心感があるね。」と言っていただいたとのことでした。

福あーるとして移乗介助の研修に取り組んでみて

移乗介助は看護やリハビリの場面ではかかせない動作のひとつです。
毎日のケアの場面で本人も支援者も楽に行えるなら、本当にうれしいことだと思います。

今回、一つの方法として、座って行う移乗介助の方法を取り上げましたが、手順を覚えることができれば簡単にできるということがわかりました。

また、介助をするにあたって、いかに本人と支援者が一体となって動くことが重要かについても学びました。今後は実際の利用者さまとの移乗介助にも活かしながら、そのほかの移乗介助の方法についても研修を続けていきたいと思います。

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