2024/01/05
とびひになった!保護するのが難しい子どもへの対応は?
子どもがよくかかる皮膚疾患のひとつに「とびひ」があります。
私の息子も、髪の毛の中にとびひができてガーゼも貼れず、四苦八苦した思い出があります。
今回のケースは、始めに虫刺されや湿疹が何か所かある様子でした。それがなかなか治らず次第に全身に広がってしまいました。
ガーゼで保護しても服でこすれてはがれて、動いてはがれて汁があっちこっちひっついて…お母さまがどうしたものかお悩みでした。
看護師の訪問の中で行なった対応についてご紹介します。
とびひとは?
とびひ(伝染性膿痂疹;でんせんせいのうかしん)とは、
細菌による皮膚の感染症です。触ることで移ります。
‟火事の飛び火”のようにあっという間に広がるので、たとえて『とびび』といいます。
もともとは、あせもや虫刺され、湿疹などをひっかいたり、転んでできた傷に、ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などの細菌が侵入することで起こります。
治療方法は?
治療はふつうぬり薬を処方されます。そして全体をガーゼで多い、1日2回程度取り替えます。また、抗生剤の内服も処方されます。
かゆみが強いので抗ヒスタミン薬の内服が出ることも多く、とにかくかきむしらないようにして、湿疹が広がらないように抑えてあげることが大切です。
兄弟姉妹がいる場合は一緒にお風呂には入らず、タオルなどの併用はしないように気をつける必要があります。大人にはあまり移りませんが稀に発症することもあります。
看護Case1: Aちゃん 1歳 とびひ (伝染性膿痂疹)
【お母さまの気持ち】
皮膚科に行っても湿疹が治らない。薬をぬるところが多くて大変で、ぬったところにガーゼをあててもすぐに外れてあまり意味がない。何とかならないでしょうか。
【介入開始時の様子】
元々のご病気があり、一日の大半を寝た姿勢で過ごしています。背中が布団に接している時間が長く、湿疹が一番多く見られたのが背中でした。お母さまも「背中の治りが一番悪い」とおっしゃっていました。湿疹の場所は両腕、背中、両足、顔、首とほぼ全身でした。かゆみのためか、ぐずることも多く、夜泣きもありました。本人はかくことはできませんが、ガーゼを貼っても、こすれてすぐにはがれてしまっていました。
福あーるの看護内容
ジュクジュクしている湿疹と服がくっついたまま乾くと、はがす時に皮膚を傷つけてしまう恐れがあるため、まずは処方されているぬり薬の中で、保湿をしっかりすることをお伝えしました。お薬をぬった上には保護のためガーゼを当てて皮膚が傷つかないように対応しましたが、貼る場所が広範囲にあり、薬の上からだとガーゼを貼るテープが貼りつきにくいため、やはりお母さまの負担になっていました。
アトピー用チューブ型包帯を試してみる
アトピーの方が使用するチューブ型包帯というものを使用しました。まず、ぬり薬や保湿クリームをぬった部分に、温水に浸して湿らせた包帯を巻き(筒状なので装着は簡単)、その上に乾いた包帯を二重に巻きました。全体を一気に覆えるので手間もかかりません。しっかり密着することでお薬の皮膚吸収を促進できることに加え、内側の湿った包帯で保湿になり、そこから自然に蒸発する水分は肌に清涼感を与え、かゆみを軽減することも期待できます。切ったところからのほつれも少ないので、手を出すところを切ってアンダーウェアのようにして背中もしっかり覆いました。
入浴ケアを開始する
入浴でのケアも行いました。市販でも薬用抗菌泡石鹸があることをお母さまにお伝えし、購入していただき、丁寧に皮膚を傷つけないように泡の弾力で洗うように気を付けました。お湯は皮脂が溶け出しやすく乾燥を進めるため、お風呂あがりはすぐに保湿をしました。
1週間後の変化
お薬がちゃんと皮膚に吸収され、保湿ができていることで、1週間ほどでも効果が現れました。1か月以上治らなかった背中部分のジュクジュクしていた湿疹が枯れてきました。お母さまも「全然治らなかった背中が良くなってきてます。薬をぬるのが楽になりました。夜泣きも減ってきて眠れています。」とご返答いただきました。
まとめ
子どもの皮膚は大人と比べて薄く、さまざまな外的刺激を受けやすくとても敏感です。また皮脂の分泌量が不安定なことからバリア機能が安定していません。そのため大人と比べると皮膚の病気にかかる頻度がとても高いです。例えば「ちょっとの虫刺され」と、見逃しがちですが、そこから後々細菌が入って感染してしまうこともあり得るということを頭の片隅においておくとよいかもしれませんね。もしも皮膚ケアで気になることがありましたら、ご相談ください。